皆様こんにちは。ただいまご紹介にあずかりました在瀋陽日本国総領事の田尻です。
本日、山本国際マーケティング研究所の提案に基づき、NEUSOFTや在瀋陽日本地方自治体交流プラットフォーム、そして今回のイベントに対する後援企業の皆様のご協力を得て、当地瀋陽で日中国交正常化40周年記念事業「ブランドマーケティング戦略シンポジウム」がこのように盛大に開催されましたことは大変喜ばしく、心よりお祝い申し上げます。
私は、このたびのマーケティングに関するシンポジウムの開催は誠に時宜を得たものであると考えます。
第一に、ここ数年、中国中央政府の東北地方に対する重視姿勢がますます顕著になっていることが挙げられます。それは、「遼寧沿海経済ベルト地域」、「瀋陽経済区」、「中国図們江地域協力」など東北地方の重要な開発計画が相次いで国家戦略に格上げされたことに端的に現れています。いわばこの地域はいま大きな「追い風」を受けていると言えます。
第二に、瀋陽市では2013年の全国体育大会のメイン会場として、受け入れのために各種の施設インフラが急ピッチで整備されていることです。ここを中核として近隣8都市を合わせれば2400万人にものぼる瀋陽経済区が形成されようとしています。すなわち、ここはいま一つの成長センターになっているといえましょう。この成長ぶりは、前年比約12%増のGDP成長、同約30%増の固定資産投資額や、可処分所得に占める消費の割合が約83%と中国各地に比べても突出した消費性向などに現れいます。
第三に、日本の経済関係者もこのような変化をはっきりと感じており、近年当地を訪問される企業関係者が急速に増加していることです。かつては、主として製造業を中心とした進出が多かったのですが、ここ3年ほどで小売業、金融、ソフトなどサービス業の展開が顕著になっています。
このような状況の下、いかにしてこの地域における販売戦略を具体化していくかが重要な課題となっています。私は、今回のフォーラムが、関係者間で率直な議論を行い、実行可能な提案を行い、具体的な協力を推進していくための重要な会合となるものと期待しています。
日本の各地と中国東北地方との交流にはすでに長い歴史があり、これによって構築されてきた交流の基礎は堅固なものがあります。特に地理的な近さ、長きにわたる歴史的交流、経済的な相互依存、といった面では大きな優位性を有していると言えるでしょう。
中国では、サプライチェーンの構築、太陽光や風力発電を含む自然エネルギーの利用、スマートグリッドなどに代表されるエネルギーの有効利用といった当面の課題のほか、相対的に経済が立ち後れた地域における産業構造の転換、少子高齢化社会における介護医療などの長期的課題がますます重要になってきており、市場としての大きな潜在力を有しています。そしてこれら産業技術は、昨年3月の東日本大震災後、我が国において注力されてきている分野でもあります。
日本の復興の過程で得た経験、技術や種々の課題について、中国との間で共同研究を行ったり、ビジネスベースでの取引に発展させていくことは、大変重要な意味を持つと考えています。
このためにも、より多くの中国の方々に日本を訪問していただく必要があります。我々総領事館としても、中国人の訪日に関してこれまで以上によい環境を整備するために努力していく所存です。近年、日本国政府は中国人に対する沖縄観光数次査証、医療査証等に関する新たな制度を創設し、また被災地訪問数次査証を検討中です。是非こういった新たな措置を活用して多くの中国人に日本を訪問していただき、日本への理解を深めるとともに、日中の相互交流促進の一助となっていただけたらと思います。
私は、日中間の相互補完性を十分に生かした協力が、当地瀋陽をはじめとする中国東北地方でひとつひとつ具体化していくことを心から望みます。そのため私自身も微力ながら努力していきます。
最後になりますが、本日のシンポジウムが実り多い成果を挙げられますようお祈りし、また、中国東北地方での日中企業の戦略的協力関係の発展と、本日ご来席の皆様のますますのご発展とご健勝を祈念し、私のご挨拶とさせていていただきます。ありがとうございました